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「モモヨデイ?ハラディ?」〜ジョン万次郎と日系のおばあちゃんに学ぶ、英語の“耳コピ力”

更新日:5月31日


みなさん、ジョン万次郎ってご存じですか?

幕末の土佐で漁師をしていた彼は、嵐で船が遭難し、偶然アメリカの船に助けられたことから運命が大きく変わります。渡米後に英語を習得して、なんと日本で初めての英語通訳になったといわれています。


さて、その万次郎がどうやって英語を覚えたかというと……なんと、「聞いたままをカタカナで記録」していたんです!

たとえば、


cat → キャァ

water → ワラ

night → ナィ 

railroad → レィロー 


勿論、カタカナ表記は、正しい発音の妨げになるので、決してお勧めしませんが、でも、考えてみてください。19世紀当時、録音媒体も存在しない時代の万次郎にとっては、「カタカナ」が聞いた音をそのまま残す唯一の手段だったわけですね。


でも実は……これって邪道でありながら、聞く耳が正確なら、ネイティブに意外と通じるんですよ。



カタカナ発音なのに、なぜか通じる!?日系のおばあちゃんの“神リスニング力”


私が20代で渡米したばかりの頃、ロサンゼルスに住む日系人のお年寄りと話す機会がよくありました。特に一世や帰米二世(アメリカで生まれて、日本で教育を受けてアメリカに戻った日系人二世)の英語が、これまたすごい。ある日、こんな風に言われました。


「ネクスト モンディ ザ モモヨデイ ハラディ」


……え!?なにそれ!?モモヨ?ハラディ?


正解は?

“Next Monday is the Memorial Day holiday.”

つまり、


モモヨデイ → Memorial Day(米国の戦没将兵追悼記念日、5月の最終月曜日)


メモリアルデイと発音すると6音節になり、本来の4音節の単語からほど遠く聞こえてしまいます。つまり「リアル=カタカナ3音節」の部分が1音節の「ヨ」に近く聞こえるのです。だから、モモヨデイなんですね。


ハラディ → Holiday


他にも、出てくる、出てくる!


ケチン → kitchen

テケツ → tickets

リース → at least [at]と最後の[t] はほぼ聞こえない

パーバブリ → probably [r]もほとんど発音しない


完全にジョン万次郎方式ですよね。聞いた音をそのまま再現して、自分の持っている一番近い音として使いこなしてたんです。



英語は“耳コピ”から始まる


その時、思い出したんです。自分が学生時代、よく聴いていたFEN(米軍極東ラジオ局、現AFN)で毎晩12時に聞こえるステーション・ブレイク、“On behalf of the affiliated American forces’ radio and television network, we bid you a good morning, ladies and gentlemen, this is our national anthem!” (米軍関連系列ラジオ/TV局を代表して、皆様、おはようございます。それでは米国の国歌です)。これを、低い男性のアナウンサーの声で、毎晩モノマネしていた自分がいました。今でも再現できるほど完璧に覚えてますね。


FENを聞いていた時だけは、なぜか、英語を“カタカナ読み”なんかしてなかった。音をそのままコピーしていたんです。完コピ。イントネーションも、息の使い方も、全部。

――そうだ、あのときの感覚を取り戻そう!



「中学・高校で習った“カタカナ発音”を、全部捨てよう」


それからは、毎日オフィスでアメリカ人の同僚の電話応対をこっそり耳コピ。会話のスピード、言い回し、声の高低……全部真似。“表面的なコピー”じゃなく、声の奥行きごと再現するつもりでモノマネしてました。そのため、女性社員の真似をしていると、「それって、男の人はあまり言わないよ!」と注意されたこともあります。


でも、それだけじゃダメなんですよね。だんだん気づいたんです。



英語の音って、口の動きで決まる!


だから私は、ファーストフード店でも、友達との食事中でも、相手の口の形も、動きも、目の表情ですらガン見してました(笑)はぁ~、あんなに大きく口が動くんだ!頬も膨らむ!目もくるくる動く!日本人はこんなに表情は変わらない!



英語の音は「口先」じゃなく「体」から出る


例えば、「P」や「B」の音。唇がパンッと破裂するように動いてる。短母音の「book」は「ブック」じゃない。「ボク!」って、胸をたたくような音。「ボ」が破裂して「ッ」は聞こえないけど、空気が胸から口へ抜けている。


耳で聞いた音を、全力で“再現”する力、思えば、スマホもYouTubeもなかった時代に、ジョン万次郎も、日系のおばあちゃんたちも、耳だけを頼りに、英語を“再現”して生き抜いてきたんですよね。


万次郎は、英語をカタカナで書き留めて覚えた。おばあちゃんたちは、独特の“耳コピ英語”で会話していた。でも、不思議なことに、それがちゃんと通じていた。


21世紀の今、世界中どこにいても、スマホひとつでネイティブの英語が24時間聞き放題、AIに自分の英語を入れれば、美しい流れるようなネイティブの英語に変換してくれる。

今の私たちは、恵まれすぎてるかもしれない。これだけ教材もあり、ツールもある世界!

それでも、私たちは、昔の人たちより、ネイティブに近い発音ができているかといえば? ……うーん⁇


だからこそ、思うんです。いったん原点に戻って「聞いた音をそのまま真似る」ことをしてみませんか?


英語は“音”から。

耳で聞いた音を、素直に、まるごと真似してみる。

ジョン万次郎式、耳コピ英語、実は今こそ最強の学び方かもしれませんね。



【お知らせ】

「今日の建築用語」は、ご紹介したい内容が長文になりそうなので、別の記事として、通訳ブログと今後は交互にアップしようと思います。お楽しみに!




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1 comentário


UraKen
4日前

カタカナ英語は「必要は発明の母」で、生きるための知恵ではないでしょうか。

それに比べて日本の中高時代の英語学習は、切迫感がないころから身につかなかった

と反省しています。

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