「あ~、え~」のない聞きやすい訳出 ―― 通訳力を一段引き上げる”即効トレーニング“
- エディ先生

- 2 日前
- 読了時間: 5分

あなたは、ご自分の訳出が聞きやすいかどうか?を意識したことがありますか?
語彙力、理解力、専門知識―――通訳者に必要な能力はいくつもありますが、実は、もっと短期間で効果が出る改善ポイントがあります。
それが、「フィラーをなくす」ことです。
① フィラーをなくす ―― これだけで印象は激変する
通訳者にとってのフィラー(filler)とは 、「え~」「あの~」「その~」、英語なら well, um, you know などの、意味を持たないつなぎ言葉のことです。
かつて、通訳者の数が限られていた時代には、CNNニュースや日米首脳会談など、最前線で活躍されていた方々の訳出にも、フィラーが多用されるケースが珍しくありませんでした。
「え~あ~、日米ぃ~安全保障体制のぉ~、いわゆるぅ~戦略的ぃ~関係ぃ構築ぅ~を~ぇ~、両国共同でぇ~ですねぇ……」
このような「間延びした訳出」を聞かされると、内容が入ってこないだけでなく、「聞こう」という意欲そのものが削がれてしまいます。
フィラーは「自信のなさ」として伝わる
心理学的にも、フィラーが頻発すると、話し手は「自信なさそう」「誠意に欠ける」という印象を与えます。その結果、聞き手の中に、「この通訳、本当に正確なのだろうか?」という疑念が生まれ、無意識に批判的な姿勢になってしまうのです。
どれほど努力していても、これでは正当な評価を得ることができません。
政治家の話し方に学ぶ「フィラーの影響」
現在、高い評価を受けている政治家の演説や記者会見には、共通点があります。
それは、フィラーが極端に少なく、話の構成が明快であること。
論点が整理され、起承転結がはっきりしているため、「わかりやすい」「スッと入ってくる」と感じるのです。
一方で、過去の多くの政治家の答弁は、「え~、その~、ですね~、すなわち~……」というフィラーだらけの“逃げの答弁”が目立ち、国民の関心を失ってきました。
興味深いのは、原稿を読む場面ほどフィラーが増え、自分の言葉で語る場面ほどフィラーが消えるという点です。
つまり、「理解して話しているかどうか」が、そのまま話し方に現れるのです。
これは、通訳にも完全に当てはまります。
フィラーをなくすと、訳出はこう変わる
フィラーが消えると、
話のリズムが整う
内容が頭に入りやすくなる
通訳者への信頼感が高まる
結果として、聞き手は自然とあなたの訳出に引き込まれていきます。
これこそ、通訳者が目指すべき理想の「訳出スタイル」です。
フィラーを多発してしまう3つの原因
フィラーは無意識の癖として出てしまいます。その主な原因は次の3つです。
適訳を探す時間稼ぎ → 沈黙が怖くて、つい口が動いてしまう
長い熟語・言い慣れない表現の直前 → 噛むことを恐れて構えてしまう
文末処理の甘さ → 話が終わっても口が開いたまま、無意識に発声
フィラーを消すための即効トレーニング4選
すぐに効果が出る方法を、いくつかご紹介します。
1. 瞬間的な沈黙を恐れない
わからない時は、一瞬、黙る勇気を持ちましょう。フィラーを入れるより、沈黙の方がはるかにプロフェッショナルです。
2. 30秒トーク練習
日常会話から、自分の考えを30秒以内にまとめる練習を。考え込まず、フィラーを使わず、即答をする癖をつけましょう。
3. 言い換えストック
「はい」「それでは」「まず」「次に」など、文頭表現をストックし、フィラーの代わりに使う。
4. 鏡を見て話すトレーニング
鏡を見て口角を上げて話す。人は、笑顔の表情でフィラーを発声しにくいのです。
② 無駄な表現・繰り返しを削り、訳出を引き締める
フィラーと同時に意識したいのが、冗長表現の削減です。
「~と思います」→ "I think" がなければ、不要
「~それでですね」「~なんですよね」→ 「です・ます」で十分
「~とか」「というような」→ 全て削除。
「そして、--- そして、---そして、」→”and”で次々に繋がれた英語には、「さらに」「加えて」などと複数の表現を使い分けるだけで、訳出は驚くほど締まります。
③形容詞・副詞の単調さから脱却する
英語の great / wonderful / awesome / fantastic をすべて「素晴らしい」と訳していませんか?
英語 | 日本語例 |
Great | すごい・見事だ |
Wonderful | 素晴らしい・感動的 |
Awesome | 圧巻だ・すてきだ |
Fantastic | 最高だ・卓越した |
日本語の語彙を増すだけで、訳出は一気に洗練されます。
最後に:理想の訳出を“耳で学ぶ”
以下は、2024年の米大統領選ディベート(トランプ vs. ハリス) の同時通訳動画です。https://www.youtube.com/watch?v=BP-TQWQY3JY&t=1455s
※全体で約2時間半の動画ですが、リンクをクリックすると、特に聞いていただきたい24分15秒頃から再生されます。
訳出は、
フィラーが少ない
リズムが良い
接続詞の使い方が絶妙
日本語として自然
まさに理想形です。
まとめ
フィラーをなくし、無駄な表現を削り、語彙を磨く。
この3点を意識するだけで、あなたの訳出は劇的に変わります。ぜひ、この動画を教材にしながら、「聞きやすい通訳」を自分のものにしてください。
あなたの訳出が、どう進化するか――楽しみですね。
by エディ先生
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