難しい地名、人名の発音はジョン万次郎式で!

「簡単な英単語だと思って言った地名や人名が、ネイティブにまったく通じずハテナ顔をされた」——そんな苦い経験はありませんか?
実は私も22歳の頃、まさにその壁にぶち当たりました。いきなりアメリカの会社に就職して日本からロサンゼルスへ渡ったのですが、今思えば、雇った側も雇われた私も相当無謀な冒険でした。
就職したのは、ハリウッドのサンセット通りにある旅行代理店。本来は日本からのツアー企画やガイドが私の任務だったはずが、現実は甘くありません。毎日ツアーがあるわけではないので、入社初日からデスクに座らされ、飛び込みでやってくる現地のアメリカ人のお客さんの対応に追われる日々が始まりました。
当時の私の英語力は「日常会話ができる」レベル。携帯電話もパソコンもインターネットもない70年代の終わりなので、お客様とのやり取りはすべて対面、もしくは電話です。強い日本語アクセントのせいで、お客様にはかなりご迷惑をおかけしたと思います。アメリカ人が行きたい都市名や予約の氏名を聞き取る作業は、現代の日本で言えば、コンビニやファストフード店で外国人店員さんとの会話がうまくかみ合わない時とまったく同じだったと思います。
そこで今回は、当時特に通じなくて苦戦した「地名・人名」をピックアップ!以前ブログでご紹介した「ジョン万次郎風カタカナ」を使って、ネイティブに通じる発音のコツを分かりやすく解説します。
発音が難しい地名
アメリカの地名で“T”が入る場合は、地域や話す人により発音するか、無声になるかが異なります。
Atlanta /ætˈlæntə/ または /æˈlænə/
カタカナの「アトランタ」が頭に浮かび、どうしても」「ト」の発音に母音の“o”が入り、さらに日本人は、lantaの“L”が正しく出せない、“a”の発音の[æ]が[ʌ]に聞こえるので、ネイティブには(A-to-ran-ta)と4音節の違う単語に聞こえます。
まず、Atlantaを“At” + “lanta”の2つに分けます。Atは前置詞の“at”と同じく小さい「アッ」と“T”は口の形だけ作って音を出しません。“lanta”は「ラ」と「レ」の間の音で、舌の先で上顎の裏をたたくように、最後の“T”も無声音で「ランナ」のようになります。アメリカ人の一部には、この“T”を発音する人もいます。
この2つを続けて発音し、その距離をだんだん縮めて、最後にワンワードにする。この繰り返しで正しく発音できます。カタカナは、「アッラナ」です。
Toronto /təˈrɒntoʊ/または /‘trɒnoʊ/
カナダの東海岸の主要都市です。やはり「トロントTo-ron-to」と聞こえるため、通じにくい都市名です。“Toro”は「トロ」ではなく、「トゥラ」に近く、“ro”は「ロ」と「ラ」の中間の音で、“To”と“r”の間で口を丸くして「ゥ」の形を作って”r”を発音します。“nto”は“t”が無声音で、「ノ」と発音します。カナダでは“T”は無声、アメリカでは“T”を発音することもあります。
カタカナでは「トゥラノ」で通じますよ。
New Orleans /nuːˈɔːrliənz/または /nuː ˈɔːrlɪnz/
どうしてもニューオーリンズと発音してしまいます。Newは米語では、「ニュー」ではなく、「ヌー」に近い発音です。
“Or”は“Or”と同じ発音です。「オァ」の最後で舌を丸めて、次の“L”は舌で上顎の裏をたたきます。“leans”は[li.ənz]と発音。「リーンズ」ではなく「リァンズ」です。
カタカナは「ヌオァリァンズ」のイメージです。イントネーションは、「オ」にかかります。
Puerto Vallarta /PWER-toh vah-YAR-tah
メキシコ中部の太平洋側にある都市で、アメリカからの旅行客が多い町です。スペイン語では「プエルト・バジャルタ」または、「プエルト・バヤルタ」なのですが、英語ネイティブは、「ポートバヤータァ」と発音します。
PuertoはPWER-toh、厳密にいうと、「プァート」が近い。
Vallartaは vah-YAR-tah、「ブァヤータ」です。
最も通じやすいカタカナは、「プァートブァヤータ」です。
通じにくい人名の発音
70年代の旅行業界はすべて固定電話でお客様とやり取りしていました。私が最も苦しんだのはお客様の英語をフルネームで確認して航空会社に電話で予約を取ること。以下のLaura、Aaron、Ian、Joel は、日本語のカタカナ読み(ローラ、アーロン、イアン、ジョエル)のまま発音すると、航空会社の英語ネイティブの担当者には伝わりません。これもジョン万次郎風にしてみましょう。主な原因は「R/Lの使い分け」、「曖昧母音(/ə/)」、「無声音のL」の3つにあります。それぞれネイティブらしく自然に発音するためのコツを解説します。
Laura /’lɔːrə/
LとRが両方入っているため、舌の動きを切り替えるのがポイントです。
出だしのL: 上の前歯の裏の根元に舌先をしっかり押し当てて「ロ」と発音します。
後半のR: 口の中で舌をどこにもつけずに奥に引き、喉の奥から響かせるように「ラ(/rə/)」と曖昧に発音します。
カタカナは、ロゥラ(最後のラは、ラとルの間ぐらいの音)
Aaron /’ærən/ または/’ɛərən/
「アーロン」と日本語の「ア」で伸ばしてしまうと通じにくくなります。
最初の音: 日本語の「ア」ではなく、「エ」と「ア」の中間の音(/æ/)でスタートし、「エア」と少し長めに発音します。
後半の音: 「ロン」ではなく、「ラン(/rən/)」に近く発音する。[o]の音はハッキリ発音せず、力を抜いた「曖昧母音」にするのがコツ。
カタカナは「エア・ラン」英語のAir-runと同じ発音をします。
Ian /’iːən/
一見シンプルなようで、「イ・ア・ン」と3音節のカタカナで発音すると通じません。
前半: 口を横にひっぱって「イー(/iː/)」と長めに強く発音します。
後半: 力を抜いて「エン」または「アン」と滑らかにつなげます。
音の連結: 「イー」から「エン」へ移行するときに、かすかに「y(ユ)」の音が挟まるイメージ(「イーイェン」に近い感覚)で一気に言うのが自然です。
カタカナは「イー・ィエン」
Joel /dʒoʊəl/ または /dʒoʊl/
カタカナの「ジョエル」のように最後に「ル」と唇を丸めて発音すると通じません。英語の語尾のLは無声音になります。
前半: 「ジョ」ではなく、二重母音の「ジョゥ(/dʒoʊ/)」と発音します。
後半(ダークL): 舌先を上の歯ぐきにつけたまま、喉の奥を鳴らすように「オ〜」と響かせます。「ル」と口をすぼめずない事。
カタカナは「ジョゥ・オ~」
Graham /ɡræm/
Last nameですが、日本人は「グラハム」と発音して通じないことが多いですね。
Gra+amに分けてhは無声音です。「グレィ」+「アム」→「グレァム」
イギリス英語では「グレィァム」ですが、アメリカ英語では重さを表す「グラム=gram」と全く同じ発音です。
皆さん、一度このカタカナで発音してみて、インターネット辞書の発音の音声と比べてみてください。きっとかなり近くなったと思いますよ!
スマホを1タップするだけで、正確な発音も口の形も一瞬で学べるZ世代、X世代の皆さん。正直、羨ましくてたまりません!
対して、私たちベビーブーマー世代の通訳者はどうだったか。重い紙の辞書をめくり、発音記号を睨みつけ、カセットテープが擦り切れるまで音を聞く……まさに「英語界の恐竜時代(Dinosaur era)」でした。
ですが、不便だったからこそ「どうにかして音を盗もう」という野生の知恵と工夫(creativity)が鍛えられたのも事実です。テクノロジーがどれだけ進化しても、最後は自分の口を動かした量だけがモノを言う。結局のところ、いつの時代も「語学に近道なし!」ですね。
by エディ先生
〈エディ先生へのご質問募集中!〉
記事についてのご質問や、通訳、英語に関するご質問などがありましたら、下記コメント欄もしくはフォームよりお寄せください。
〈ブログ更新のお知らせをメールで受信できます〉
プロフィールページの右上にある「フォローする」をクリックしてメールアドレスをご登録ください。更新情報はXやFacebookページからもご覧いただけます。






コメント