アメリカの職場あるある!――日本人にはちょっと不思議な職場コミュニケーション
- エディ先生

- 10 分前
- 読了時間: 9分

日本企業、アメリカ企業それぞれ20年以上働いてきた経験からすると、日米の職場文化にはかなり大きな違いがあります。もちろん、ここで紹介するのは、アメリカの職場で私が長年見てきた、ちょっとした「アメリカの職場あるある」です。
1.表の言葉と本心のギャップ
アメリカの職場では、会話や態度だけを見ていると、「この二人は仲がいいのか、悪いのか」が分かりにくいことがあります。これは、上司と部下でも、同僚同士でも同じです。日本の職場では、仲が良い関係と、ちょっとギクシャクしている関係の違いが、言葉遣いや表情、態度に比較的出やすいですよね。
ところがアメリカの職場では、仕事上の人間関係をスムーズに保つために、相手に対してポジティブでフレンドリーな言葉をかけることがよくあります。たとえ上司とウマが合わなくても、まるで仲の良い同僚のように話す。デスクや会議室で、お互いに家族の写真を見せながら、”Your daughter is so pretty!”、“I love your son’s smile!”などと褒め合っている2人が、実はあまり仲が良くない――なんてこともあります。
初めの頃は、「えっ、この2人、こんなに仲がいいんだ」と思っていたら、後になって、「そうでもなかったのね……」と分かることも。
「ああ、アメリカで部下の管理をするって、こういうところが難しいんだな」と思ったものです。
2.アメリカ人はYes / Noをはっきり言う?
「アメリカ人はYes / Noをはっきり言う」とよく言われます。確かに、仕事上、自分の業務や責任に直接影響する問題については、かなり明確にYes / Noを言う人が多いと思います。
ところが、自分の責任範囲外のことや、直接影響を受けない問題になると、少し様子が変わります。“That sounds good”、“That's interesting”、“I think that's a good idea”など、まずはポジティブな反応を返す。さらに、普段あまり仕事上の接点がない社員同士なら、常にニコニコして、当たり障りのない会話に徹することも珍しくありません。特に初対面で他部署の社員と話すときなどは、とてもフレンドリーで、会話も盛り上がります。
だからといって、一瞬で親しい友人になるわけではありません。この「フレンドリーだけれど、必ずしも親しいわけではない」という微妙な距離感に、日本人が慣れるまでには、かなり時間がかかると思います。
また、日本の会社のように、「同期入社で30年以上、一緒に仕事をしている」という関係も、アメリカではそれほど一般的ではありません。転職も多いため、「これから数年間、一緒に仕事をする人」として、良好な関係を保つことを重視する傾向があります。そのため、仕事が終われば早めに帰宅する人も多く、仕事の後に部内の人たちと飲みに行く、という日本的な付き合い方は比較的少ないでしょう。
3.持ち物、服、髪型を褒めまくる
朝出社すると、“I like your bag!(そのバッグ、いいわね!)”、“You look great today!(今日は素敵ね!)” 、“I love your shoes!(その靴、素敵!)”、“Your hair looks amazing!(髪型、すごくいいわね!)”など、服装や髪型、持ち物をかなり積極的に褒められることがあります。
日本人からすると、「いや、そこまで言われるほどのものでは……」と謙遜したくなるくらいです。
でも、アメリカでは、ここで 「いえいえ、そんなことないです」と否定する必要はありません。むしろ、“Thank you! I really like this color.” などと、素直に「ありがとう」と受け取るのが自然です。
簡単に言えば、アメリカでのちょっとした会話”Small Talk”はHow are you? → 褒める → Thank you! という流れが、日常のスムーズなコミュニケーションの一つになっています。 ただし、これは特に男性にとっては少し注意が必要です。
相手との関係や職場の雰囲気によっては、服装や外見を直接褒めることが適切でない場合もあります。一方で、相手が明らかに普段と違う服装をしていたり、特別におしゃれをしていたりする場合には、「何かひと言言ったほうがいいかな?」と悩むこともあります。
そうそう、アメリカの職場では、毎日のちょっとした会話にも、意外と気を使うのです。
4.あまり意図していない「お誘い」が多い!
会議が終わったとき、“We should have lunch sometime!(今度ランチでもしましょう!)” と言われることがあります。日本人は、「本当に誘ってくれたのかな?」と思うかもしれません。
でも、日時が具体的に決まっていなければ、まずは「またよろしくね」くらいの社交的な挨拶として受け取ったほうがいい場合もあります。一緒に仕事をして、結果もうまくいった。これからも仕事で協力することがありそう。そんな相手に、“See you later” だけでは、ちょっと素っ気ない。そこで、“We should have lunch sometime!” となるわけです。
本当に誘う気がある場合は、“Let's have lunch next week. How about Tuesday?” のように、具体的な日時が出てきます。日時の話が出てこなければ、あまり深く考えなくても大丈夫。
日本でも、「今度飲みに行こうよ!」と言いながら、いつまでたっても実現しない人っていますよね。それと少し似ています。
5.「ここだけの話」――でも、主要人物はほぼ全員知っている
昔、アメリカ人の同僚から、“This is between you and me” と言われて、社内のちょっとした秘密を教えてもらうことがありました。日本語でいう「ここだけの話」です。社内の「ここだけの話」といえば、人事に関する話題が多いものです。最初の数年間、慣れない私は、「秘密だって言っているんだから、絶対に口外しないようにしよう」と、誰に探りを入れられても、真面目に口を閉ざしていました。
ところが、しばらくすると、「あれ? あの人も知っている」、「この人も知っている」、「あの人まで知っているじゃないか!」 と、知っている人がどんどん増えていく。「全然、ここだけの話じゃないじゃないか!」と思ったものです。
それ以来、同じことを言われても、「まあ、自分だけに特別に教えてくれたわけではなく、周りの人にも一人ずつ話しているんだろうな」と思うようになりました。もちろん、これは私個人の経験から感じたことです。ただ、日本人の「ここだけの話」は、本当に口外しない方が良い事が比較的多いような気がします。
6.大したことをしていなくても “Good job!”
会議で資料を一枚見せただけなのに、“Great job!” と言われる。あるいは、“That was awesome!”、“You did a fantastic job!”、“Excellent presentation!” などなどと言われる。日本人なら、「いやいや、まだ結果も出ていないのに……」と思うような場面でも、とりあえずポジティブな言葉が出てきます。これは単なる「お世辞」というより、相手のモチベーションを高めたり、良い行動を認めたりするためのコミュニケーションとして機能している面があります。
アメリカの職場では、「良い仕事をしたら、その場で具体的に褒める」という考え方が比較的強いのです。そして、これは職場だけではありません。親子でも、夫婦でも、“Great job!”、 “You look amazing!” と、かなり大げさに褒め合うことがあります。
日本人からすると、「そこまで褒める?」と思うくらいです。でも、これもアメリカで生活しているとだんだん慣れてきます。
7.上司が部下を人前で褒める
会議の中で、“I want to give a shout-out to Sarah. She did an amazing job on this project(Sarahさんをぜひ称賛したいと思います。彼女はこのプロジェクトで素晴らしい仕事をしてくれました)”と、みんなの前で特定の社員を褒める。これもアメリカの職場ではよく見られる光景です。
日本人からすると、「そんなに人前で特定の人だけを褒めるかな?」と思うかもしれません。ところが、アメリカの企業では、こうしたpublic recognition(人前で成果を認めること)を、社員のモチベーションを高めるマネジメント手法の一つとして考えることもあります。
私が経験した会社では、社員がポイントを貯められる制度がありました。ちょっとした仕事の成果でポイントが付与され、勤続年数などでもポイントが加算される。貯まったポイントで商品を購入したり、旅行などの特典に交換したりできる仕組みです。管理職にも一定のポイントが与えられ、それを部下の成果を称えるために使う。頑張ったら、ちゃんと認めてもらえる」という仕組みです。
逆に、日本から赴任してきた上司が、仕事には厳しいのに、ほとんど褒めてくれないと、現地社員は“Does my boss think I'm doing a good job?(私の上司は、私がちゃんと仕事をしていると思ってくれているのかな?)”と不安になる社員もいるくらいです。
日本人の感覚では、「何も言われない=問題ない」かもしれません。しかし、アメリカの職場では、「何も言われない=評価されていないのかも」と受け取られることがあるのです。ですから、私自身もアメリカの組織で管理をする上で、部下が良い仕事をしたら、意識的に言葉にして褒めるように努力しています。
8.週末の予定までSmall Talk(雑談)
月曜日の朝は“How was your weekend?”、金曜日の午後には“Have a good weekend!”――これもアメリカの職場では定番です。日本人にとっては単なる挨拶に聞こえるかもしれません。でも、場合によっては、そこからちょっとした会話を続けることが期待されています。アメリカでは、言葉のキャッチボールが途切れた「沈黙」は「気まずい」と考える傾向があります。
例えば、「週末、何してたの?」と聞かれて、“Nothing”で終わってしまうと、ちょっと会話が続かなくなる。例えば、“We stayed home and watched a movie. It was really relaxing” くらいに少し話を広げると、自然なSmall Talkになります。
疲れていても、“I had a great weekend!” とポジティブに話を始める人もいます。もちろん、毎回無理に「最高の週末だった!」と言う必要はありません。ただ、アメリカの職場では、こうしたSmall Talkも人間関係を作る重要なコミュニケーションなのです。
9.くしゃみをしたら “Bless you!”
最後は、職場に限らずアメリカの日常生活でおなじみの光景です。誰かが、“Achoo!” と、くしゃみをすると、“Bless you!” と、周りの人が声をかける。たとえ少し離れた席からでも、“Bless you!” と飛んでくることがあります。そして、くしゃみをした本人は、“Thank you!” と返す。
日本人からすると、「そこまでしなくても……」と思うくらいですが、アメリカではほとんど反射的に行われる習慣です。慣れないうちは、くしゃみをして、「……あれ? 何か言わなきゃいけなかったんだっけ?」となる日本人もいるかもしれません。こうした小さな習慣の積み重ねが、実は外国で働くときの「文化の壁」だったりします。
おわりに
日本では、「言わなくても分かる」「相手の気持ちを察する」ことが重視されます。一方、アメリカでは、「言葉にして伝える」「ポジティブな反応を返す」「良い仕事はその場で認める」といったコミュニケーションが重視されます。アメリカの職場文化を長年経験してきて感じるのは、日米文化も違いはあるものの、その違いを尊重して正しく理解すると、円滑な人間関係を築きやすくなる、ということです。
by エディ先生
〈エディ先生へのご質問募集中!〉
記事についてのご質問や、通訳、英語に関するご質問などがありましたら、下記コメント欄もしくはフォームよりお寄せください。
〈ブログ更新のお知らせをメールで受信できます〉
プロフィールページの右上にある「フォローする」をクリックしてメールアドレスをご登録ください。更新情報はXやFacebookページからもご覧いただけます。




コメント