【アメリカの戸建て住宅事情】第6回 内装仕上げ~引き渡し
- エディ先生

- 2025年12月19日
- 読了時間: 6分

内装仕上げ〜引き渡しまでの怒涛の2か月
9月に着工してわずか2か月。ガレージの扉も取り付けられ、外観工事はほぼ終了。ここでゼネコンのマネージャーと「内装のウォークスルー(確認点検)」を行います。
間取り、建具、外装、配管、電気コンセントの位置などを図面と照らし合わせて、内装工事に入って問題がないかを細かくチェック。いよいよ家づくりも終盤に突入です。
11月はさらにスピードアップ。
壁の仕上げ、塗装、キッチン・バスのキャビネット取り付け、空調システム……と一気に内装が形になっていきます。同時に、前庭の歩道、ドライブウェイ、裏庭のパティオなど外構のコンクリート工事も並行して進むため、毎回現場に行くたびに家の姿がガラッと変わっているほどです。
入居1か月前は“想像を超える大騒動”
以前も触れましたが、アメリカのディベロッパーが提供する内装オプションはとにかく高い!
そのため、カーテンレール、カーテン、オフィスのブラインド、キャビネットのハンドル類は自分たちで購入し、引き渡し後にハンディマン(*)へ取り付けを依頼することにしました。
その結果、12月は 家具購入 → 配送日調整 → 採寸 → 買い物 → 再採寸 の大渋滞。
当初は「旧居の売却と新居の引き渡しを同時に…」なんて甘い考えをしていましたが、そんな余裕はゼロ。結局、新居への引っ越しを1月に優先し、旧居の売却は2月開始にずれ込みました。
*ハンディマン(Handyman)とは、住まいの小さな修理や日曜大工的な作業を幅広く請け負う “町の便利な修理屋さん”です。水漏れ・壁の穴補修・家具の組み立てから、ライセンスを持っていれば、設備、水回り、機器の取り付け、電気工事まで、専門業者より格安で仕事をしてくれます。アメリカでは正規のコントラクターの労務費がかなり高いので、ハンディマンが幅広く活躍しています。簡単な作業は価格で選べますが、電気、設備、水回りなど専門的な仕事は、口コミで信頼できる人を雇わないと失敗しますので要注意です。
インチとフィートの“非10進法”が最大の敵
最も苦労したのが 採寸。カーテンレールや額縁の位置決めをするとき、壁の中央を測り、フック位置を左右対称で…という作業は日本なら cm で簡単です。しかしアメリカは インチ表示(しかも分数!)。
巻き尺はインチ表記、購入するカーテンレールやフレームもインチ表記
例:83 ¾インチの中央は? その1/3は?暗算は絶対ムリ!
結局、紙と計算機なしでは何も取り付けられない状態に。
⅝インチ → 0.625 に変換 → 計算 → また分数に戻す → 巻き尺で印 → 汗かきかき、やっと取り付けたら「ええっ?左に寄ってない?」と言われる……。「またかよぉ~」
見直したら分数計算を間違えていた、というオチつき。12月は部屋ごとに立面図を作り、寸法を書き込み、IKEAとHome Depotを往復する日々。メートル法で育った日本人にとって、アメリカの“分数世界”は本当にハードモードです。
以下は自己流でエクセル作成の、壁の立面図(elevation view)と寸法です。これを全室作ってハンディマンに渡すんですから……。

キッチンのキャビネット・ハンドルの取り付け
キャビネットの扉と引き出しは 合計54か所。素人がすべてを水平に揃えて取り付けるのは絶望的。そこでハンディマンに依頼したところ、Cabinet Hardware Jig(専用ジグ)を使って2時間で全部完了!プロの道具は本当に偉大です。
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壁と扉が“微妙に水平じゃない”アメリカ建築
これまでアメリカでアパートにも、戸建てにも住んだ経験で、共通しているのが…壁や枠が必ずしも水平・垂直ではない!床が斜めでゴルフボールが転がるほどではありませんが
壁の端・天井のライン・扉枠 などが微妙に傾いていることが多い。
壁紙を自分で貼ると、この“微妙な歪み”が大問題。壁に沿って貼ると、数メートル後に天井との間に隙間が出る…。そのため壁紙屋さんの動画では必ず、「天井から糸+錘を垂らして“完全な垂直線”を基準に貼ってください」と言われます。
日本なら即クレーム案件ですが、アメリカでは普通。慣れるしかありません。
そしてついに“Closing(引き渡し)”
1月下旬、いよいよ引き渡し。タイトルカンパニー(Title Company)に出向き、100ページ超の書類を読み上げられながら数十か所にサイン。日本ではアメリカのタイトルカンパニーに相当する機関はなく、司法書士が登記と権利確認を担当し、金融機関が資金決済を管理し、不動産会社が全体の手続きを調整するなど、複数の専門家が役割を分担してクロージングを進めますが、アメリカでは一連の不動産契約は、中立機関であるエスクロー(Escrow)を通じて、取引条件に齟齬が無いかどうか、建築に瑕疵が無いかなどチェックができ、最後にタイトルカンパニーがすべての条件を確認してくれます。膨大な資料をすべて読むこともなく安心して売買を行えます。
こうして、サイン完了 → 頭金の小切手を渡す → 鍵を受け取る、の流れで終了です。最後に、このブログのトップの写真の様に、お決まりの巨大な「We’ve got the keys!」ボードを持って写真撮影をしていただいて、”Congratulations!” これ、アメリカでは、皆さん、やりますよ。
新築の1年保証で判明した“アメリカらしい不具合”
新築購入には1年保証があり、建築の不備は無料で修理してくれます。
我が家で実際にあったのは……
· タオル掛けが水平でない
· ガレージのドアに1cmの隙間
· パティオのドアもしまりが悪い
· 窓の二重ガラスの内部にシミ(3か所交換)
· 洗濯機のブレーカーが毎回落ちる
· 壁と天井の境目の塗装漏れ
· エアコンの冷房が作動しない(主電源がオフ…)
扉の隙間修理は、てっきり蝶番調整かと思いきや、枠ごと引き出して補修&塗装する大胆工法でびっくり。アメリカらしいと言えばアメリカらしい。
さらに、ドアの開く向きとスイッチ位置が不便、壁スイッチに手が届かない、押し戸の方が良かった……など、設計図の段階で気づかない細かな不便は保証対象外です。2年目以降は Home Warranty を自費で契約して対応することになります。
実感!「日本の建築は、人に優しい細かい配慮が設計に活かされているなあ!」
4か月で完成、でも、あれが欲しい、これが欲しいと、そこから追加工事へ
初めての新築購入はどうにか無事終了。しかし、入居後に、パティオ拡張・家の横のスペースでごみ箱をスムーズに転がせるコンクリートの通路、裏庭にパーゴラ・ファイアーピットなどを追加したくなり、結局はコストがどんどん発生…。とはいえ、最初からディベロッパーのオプションでこれらを選んでいたら、もっともっと高額になっていたはずなので、安く終わって感謝です。
9月中旬の着工から1月末の引き渡しまで、わずか4か月少々。アメリカ新築のスピード感には驚きでした!
次回は 中古住宅の購入・売却についてお話しします。
by エディ先生
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アメリカでは、住宅建設への建築主のかかわり方が非常に大きいのに驚きました。
それだけに長く大切に扱っていて、そして中古住宅市場も成熟したのかもしれません。
日本の使い捨て住宅とは大きな違いです。