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【アメリカの戸建て住宅事情】第6回 内装仕上げ~引き渡し




内装仕上げ〜引き渡しまでの怒涛の2か月


9月に着工してわずか2か月。ガレージの扉も取り付けられ、外観工事はほぼ終了。ここでゼネコンのマネージャーと「内装のウォークスルー(確認点検)」を行います。


間取り、建具、外装、配管、電気コンセントの位置などを図面と照らし合わせて、内装工事に入って問題がないかを細かくチェック。いよいよ家づくりも終盤に突入です。


11月はさらにスピードアップ。


壁の仕上げ、塗装、キッチン・バスのキャビネット取り付け、空調システム……と一気に内装が形になっていきます。同時に、前庭の歩道、ドライブウェイ、裏庭のパティオなど外構のコンクリート工事も並行して進むため、毎回現場に行くたびに家の姿がガラッと変わっているほどです。



入居1か月前は“想像を超える大騒動”


以前も触れましたが、アメリカのディベロッパーが提供する内装オプションはとにかく高い!


そのため、カーテンレール、カーテン、オフィスのブラインド、キャビネットのハンドル類は自分たちで購入し、引き渡し後にハンディマン(*)へ取り付けを依頼することにしました。


その結果、12月は 家具購入 → 配送日調整 → 採寸 → 買い物 → 再採寸 の大渋滞。


当初は「旧居の売却と新居の引き渡しを同時に…」なんて甘い考えをしていましたが、そんな余裕はゼロ。結局、新居への引っ越しを1月に優先し、旧居の売却は2月開始にずれ込みました。


ハンディマン(Handyman)とは、住まいの小さな修理や日曜大工的な作業を幅広く請け負う “町の便利な修理屋さん”です。水漏れ・壁の穴補修・家具の組み立てから、ライセンスを持っていれば、設備、水回り、機器の取り付け、電気工事まで、専門業者より格安で仕事をしてくれます。アメリカでは正規のコントラクターの労務費がかなり高いので、ハンディマンが幅広く活躍しています。簡単な作業は価格で選べますが、電気、設備、水回りなど専門的な仕事は、口コミで信頼できる人を雇わないと失敗しますので要注意です。

 


インチとフィートの“非10進法”が最大の敵


最も苦労したのが 採寸。カーテンレールや額縁の位置決めをするとき、壁の中央を測り、フック位置を左右対称で…という作業は日本なら cm で簡単です。しかしアメリカは インチ表示(しかも分数!)。


巻き尺はインチ表記、購入するカーテンレールやフレームもインチ表記


例:83 ¾インチの中央は? その1/3は?暗算は絶対ムリ!


結局、紙と計算機なしでは何も取り付けられない状態に。


⅝インチ → 0.625 に変換 → 計算 → また分数に戻す → 巻き尺で印 → 汗かきかき、やっと取り付けたら「ええっ?左に寄ってない?」と言われる……。「またかよぉ~」


見直したら分数計算を間違えていた、というオチつき。12月は部屋ごとに立面図を作り、寸法を書き込み、IKEAとHome Depotを往復する日々。メートル法で育った日本人にとって、アメリカの“分数世界”は本当にハードモードです。


以下は自己流でエクセル作成の、壁の立面図(elevation view)と寸法です。これを全室作ってハンディマンに渡すんですから……。



キッチンのキャビネット・ハンドルの取り付け


キャビネットの扉と引き出しは 合計54か所。素人がすべてを水平に揃えて取り付けるのは絶望的。そこでハンディマンに依頼したところ、Cabinet Hardware Jig(専用ジグ)を使って2時間で全部完了!プロの道具は本当に偉大です。    

ハンドル取付の専用ジグ
ハンドル取付の専用ジグ
あっという間に水平に取付完了!
あっという間に水平に取付完了!

壁と扉が“微妙に水平じゃない”アメリカ建築


これまでアメリカでアパートにも、戸建てにも住んだ経験で、共通しているのが…壁や枠が必ずしも水平・垂直ではない!床が斜めでゴルフボールが転がるほどではありませんが

壁の端・天井のライン・扉枠 などが微妙に傾いていることが多い。


壁紙を自分で貼ると、この“微妙な歪み”が大問題。壁に沿って貼ると、数メートル後に天井との間に隙間が出る…。そのため壁紙屋さんの動画では必ず、「天井から糸+錘を垂らして“完全な垂直線”を基準に貼ってください」と言われます。


日本なら即クレーム案件ですが、アメリカでは普通。慣れるしかありません。



そしてついに“Closing(引き渡し)”


1月下旬、いよいよ引き渡し。タイトルカンパニー(Title Company)に出向き、100ページ超の書類を読み上げられながら数十か所にサイン。日本ではアメリカのタイトルカンパニーに相当する機関はなく、司法書士が登記と権利確認を担当し、金融機関が資金決済を管理し、不動産会社が全体の手続きを調整するなど、複数の専門家が役割を分担してクロージングを進めますが、アメリカでは一連の不動産契約は、中立機関であるエスクロー(Escrow)を通じて、取引条件に齟齬が無いかどうか、建築に瑕疵が無いかなどチェックができ、最後にタイトルカンパニーがすべての条件を確認してくれます。膨大な資料をすべて読むこともなく安心して売買を行えます。


こうして、サイン完了 → 頭金の小切手を渡す → 鍵を受け取る、の流れで終了です。最後に、このブログのトップの写真の様に、お決まりの巨大な「We’ve got the keys!」ボードを持って写真撮影をしていただいて、”Congratulations!”  これ、アメリカでは、皆さん、やりますよ。



新築の1年保証で判明した“アメリカらしい不具合”


新築購入には1年保証があり、建築の不備は無料で修理してくれます。


我が家で実際にあったのは……

·         タオル掛けが水平でない

·         ガレージのドアに1cmの隙間

·         パティオのドアもしまりが悪い

·         窓の二重ガラスの内部にシミ(3か所交換)

·         洗濯機のブレーカーが毎回落ちる

·         壁と天井の境目の塗装漏れ

·         エアコンの冷房が作動しない(主電源がオフ…)


扉の隙間修理は、てっきり蝶番調整かと思いきや、枠ごと引き出して補修&塗装する大胆工法でびっくり。アメリカらしいと言えばアメリカらしい。


さらに、ドアの開く向きとスイッチ位置が不便、壁スイッチに手が届かない、押し戸の方が良かった……など、設計図の段階で気づかない細かな不便は保証対象外です。2年目以降は Home Warranty を自費で契約して対応することになります。


実感!「日本の建築は、人に優しい細かい配慮が設計に活かされているなあ!」



4か月で完成、でも、あれが欲しい、これが欲しいと、そこから追加工事へ


初めての新築購入はどうにか無事終了。しかし、入居後に、パティオ拡張・家の横のスペースでごみ箱をスムーズに転がせるコンクリートの通路、裏庭にパーゴラ・ファイアーピットなどを追加したくなり、結局はコストがどんどん発生…。とはいえ、最初からディベロッパーのオプションでこれらを選んでいたら、もっともっと高額になっていたはずなので、安く終わって感謝です。


9月中旬の着工から1月末の引き渡しまで、わずか4か月少々。アメリカ新築のスピード感には驚きでした!


 

次回は 中古住宅の購入・売却についてお話しします。



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2件のコメント


UraKen
2025年12月20日

アメリカでは、住宅建設への建築主のかかわり方が非常に大きいのに驚きました。

それだけに長く大切に扱っていて、そして中古住宅市場も成熟したのかもしれません。

日本の使い捨て住宅とは大きな違いです。

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エディ先生
2025年12月20日
返信先

いつも貴重なご意見ありがとうございます。アメリカの家は50-70年はリモデルしながら転売されていきます。改装の市場が豊富で、格安で新築の見栄えになる為、購入側も中古という意識も無く、価格も築年数より所在地と環境、床面積、部屋数の方が大きな要因となります。

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