【アメリカの戸建て住宅事情】第3回 新築購入体験記
- エディ先生
- 4 日前
- 読了時間: 7分

日本では築30年以上の家は、取り壊して同じ土地に新築を建て直すケースが多いですよね。でもアメリカではちょっと事情が違います。築何十年も経った家でも、そのまま外装や内装をリモデルして住み続けたり、リモデルによって価値を上げて売却するのが一般的。なので、既存の市街地で新築戸建てが販売されるのは実はとても珍しいんです。
では、アメリカの新築戸建てはどこに建つのかというと…答えは「郊外の草原(greenfield)」!
市が新たにコミュニティを開発し、その中に大手ディベロッパーが100〜200軒規模で一気に住宅を建てる、というのが定番のスタイルです。
今回は、そんなアメリカならではの環境で、筆者が実際に体験した「新築一戸建て購入の流れ」をリアルにご紹介します!
理想の家探し、いよいよスタート!
アメリカで新築住宅を建てる場合、自分の土地、または購入した土地に一から設計・施工するケースは、ごく一部の豪邸(mansion)を建てる資金力のある裕福な層に限られます。設計事務所、設備エンジニアなどを雇って建設するため、資材や人件費の単価が高いだけでなく、総コストが相当高くなり、どうしても数百万ドル規模の豪邸(mansion)がその対象になります。
一般的なバイヤーの購入には、大手ディベロッパーがまとめて建設を行う、「建売型コミュニティ」が主流です。とはいえ、「建売り」といっても、購入者が、施工前に区画を選び、広さ、間取り、外装内装デザインなどを、かなり自由に選択してカスタマイズできる、注文住宅に近いことが魅力です!
私たちが選んだのは… 湖の見える静かな街!
現在の住まいの隣町に、小さな人工の湖が点在する美しいコミュニティを発見! その一角に55歳以上のシニア限定のゲート付きコミュニティ(gated community)が、最終2区画の建設を始めようとしていました。その最後の区画に、私たちが探していた水辺の土地があったのです。
新築の場所選びの注意事項
選ぶ土地の周囲に広い未開発の土地が無い事。すぐ隣にスーパーマーケット、ショッピングセンターなどできることも。もし学校などできたら、送り迎えの親の車で朝晩大渋滞になります。
直ぐ近くに幹線道路が無く、高速が出来そうな土地もない事。近くの道にいきなり高速の高架がかけられたらショックですから。
周辺の道路、街路樹などが美しく、景観に力を入れている地域を選ぶ。勿論HOA(住宅所有者協会)の年間コストは少々高くなります。
7月上旬ついに販売開始!初日の朝、早速乗り込んで、ずっと決めていた区画の先取りに成功。「やったぁ!」
ロットサイズは、土地の横幅により40・50・60フィート(12m-15m-18m)の3種類から選択し、2ベッドルームの間取りは40・50フィート幅の区画で、その中でも湖に面しているのは5か所のみで早い者勝ち!土地の価格は水辺の眺望や立地条件によって追加料金が加算され、湖の景観がある区画は、塀で囲まれて何も見えない場所より土地代が標準価格+数万ドル以上となります。
間取りと外観を選んで、いよいよ契約!
土地が決まったら、次は以下のステップで建物の構造と外観設計を決定します:
1. 各部屋の配置(layout)を数種類のモデルハウスを見て選択
2. 外観デザイン(外壁材-レンガの種別、道から見た家の正面の立面デザイン、色)を選択
3. 各部屋の構成のオプションを決める
オープンスペースのダイニングルームを、ベッドルームに変えるオプション(以前の家でフォーマルダイニングは、年に2-3回しか使わず無駄だったので、壁で囲い、ガラスの観音開き扉(double swing-ing door)をつけて、私のホームオフィスに改造しました)
ガレージ後ろの倉庫を改装して、書斎などにするオプション(奥さんのプライベートジムに改装!)
4. コンセント、ガス配管などの立ち上げ位置の決定
構造がベタ基礎(slab on grade)なので、施工前に、電気、ガスをコンクリートスラブの下を這わせて、使いたい場所に立ち上げることが必要。
机を置くオフィスのフロアに電気コンセントを、パティオの柱にガス、水道配管を追加。壁掛けTVの裏の壁コンセント位置も特定。
以上基本設計が確定すると、ディベロッパーから最終価格が提示され、売買契約へ。手付金(earnest deposit)として購入価格の1%ほどを前払いします。
着工までのワクワク期間♪
契約から着工までは約2ヶ月。この期間は、まさに“夢見るマイホーム期間”!モデルハウスを何度も訪れて、動画や写真を撮ったり、家具やカーテン、キッチン雑貨まで買い始めたり…。カリフォルニアやフロリダのビーチ沿いは全く予算が見合わなかったので、代わりのこの水辺に納得!「毎朝、太陽の光が水面に映る家…!」と、心が躍りました。
デザインセンターで内装選び!ワクワク、でも悩ましい…
着工前のもう一つの大仕事は、ディベロッパーのデザインセンターに行って、内装のオプションを決める事。
モデルルームの豪華な内装を見ると、「わぁ~こんな素敵な家に住めるんだ!」と、まるで自分の生活が一段上がったような錯覚に陥ります。実はそれはすべて高額な“オプション”で飾られた姿なのです! 誰もが見るモデルハウスを実現するには5万-10万ドルの追加コストが発生します。
デザインセンターで、「これ、モデルルームで見たピカピカのシャワールームだよね?」「そのタイルは、追加1万ドルです。標準だとグレーの光沢のないものとなります。」「ドアノブは、丸型じゃなく艶消しのハンドル型がおしゃれだね!」「あ、それ家全体で、ドアと引き出し合わせて60か所あるので2400ドル追加です」。。。 悲しいかな、標準仕様では、家の中は、ただの白い箱みたいなもので、あのモデルルームは再現できないんですねぇ~! ここはぐっと我慢してリアルな予算を把握して、最低限のオプションを選ぶことが大切です。
そこで、私たちはYouTubeで新築購入者の体験談をたくさん視聴し、次のように“賢く節約”しました:
床材:標準は薄手のカーペット → 掃除しやすい追加費用が低いタイルに変更(もちろんフローリングがベストですが、これは高すぎて断念)
キッチンカウンター:標準の茶色かグレーの人工御影石(granite)ではなく、見た目重視で明るめの真っ白のクオーツ材(quartz)のオプションを選択
壁の色:標準の白で明るい印象に
ドアノブ・ハンドル:ネット販売で希望の艶消しハンドルを廉価で購入し、Handymanに取り付け依頼
ポイントは、「床やタイル、カウンタートップなど、後から剝がしたりやり直すと、逆に大きなコストがかかるもの、ハンディマンでは替えられない最低限の部分だけをオプションで選ぶこと」です。
新築のメリットと注意点
◎新築のメリット
故障や老朽化した構造や配管をインスペクションして確認しなくても良い事
高気密・高断熱で電気代節約
流行のオープンキッチンでリビングにいるゲストとの会話も弾む
共用施設(プール・ジムなど)が新品&無料で、街並みの景観が統一されて美しい事
2年間の保証付きで、問題があっても即修理してくれる
不動産業者の仲介手数料や購入価格交渉はほぼ不要
△注意すべき点
カーテンもブラインドもついてこない。丸見え状態での入居スタートにならないように事前購入し、据え付け手配をする事!
新居なのでどうしても家具・家電の買い替えがおこり予算オーバーの可能性――これは避けられません
オプション費用が想定以上に高額に… 最低これは欲しいというオプションでも決して安くありません。
そして、着工を待ちながら…
設計完了から着工までは数週間、そこから完成まではさらに半年。
この数ヶ月は、家具の準備、引っ越し計画、美しいインテリアの妄想(笑)と、楽しくも忙しい期間です。
次回は、「実際の建設の様子」についてお届けする予定です。どうぞお楽しみに!
by エディ先生
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日本でも一生に一度あるかどうかもわからない戸建新築の様子が手に取るようにわかり、
自分のことのようにドキドキしてきました。
予算の制限のほかにもいろいろな規制やルールがあって思うに任せぬところがあるのは
アメリカでも同じだと思いますが、部屋のレイアウトに自由度が高いのはうらやましいです。