【アメリカの戸建て住宅事情】第4回 施工開始
- エディ先生
- 9月26日
- 読了時間: 5分

9月中旬、いよいよ着工しました。
施工会議Construction Meeting
購入契約から1か月ぐらいで、現場の施工マネージャーとConstruction Meetingを行います。ここで着工から竣工までの流れの説明を受けますが、驚かされたのは、竣工まで4か月もかからない事。実際の着工が9/17で引渡し予定はすでに1/17と決まり、この間丁度4か月ですが、実際はクリスマス休暇の前には完成検査前の準備ができていたので、正味3.5か月で建ってしまった感じです。2x4(ツーバイフォー)建築の速さというか、アメリカの建築のスピードを知らなかった我々は、勝手に入居を翌年春ごろと思っていたため、大慌てで、家具やカーテン、レール、取っ手その他の部品調達を開始しました。
さらに、深刻な課題は、住んでいた家の売却を急がないといけない事。実は、9月時点で全く売却の準備もしておらず、年末年始に、旧住居の売却と新居への引っ越しを同時にするなんて、とても無理だと断念、とりあえず、1月末の新居入居の準備を優先し、旧住居の売却は引っ越し後に家の内装・外装をある程度修理してから、という計画の変更を余儀なくされました。
住宅施工の基礎構造
アメリカの工法は、一戸建てから3階建て程度のアパートまでのサイズの建物の場合、大部分が2x4(ツーバイフォー)の木造建築です。日本のような鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete Construction)は一般の戸建てには、ほとんど使われません。
戸建ての基礎は、コンクリートのスラブ基礎(slab-on-grade) が広く使われています。日本のベタ基礎と類似していますが、日本では地震対策、シロアリ防止のため、床下を密閉して強固な基礎をつくることを目的とする一方、アメリカでは、スラブ基礎が最も安く、早く施工するために採用されています。南部の一部、洪水が多い地域では、FEMA(連邦緊急事態管理庁)のガイドラインで住宅を地面から一定の高さに挙げることが義務化され、ピア&ビーム基礎(pier and beam foundation)や高床式(raised foundation)が採用されます。
一方、アメリカ北部や中西部の寒冷地では、凍結深度(frost line)が深いため、基礎を地面の深いところまで掘る必要があります。深く掘ったからには、そこに地下室(basement)を追加するのはコスト的にも安価なため、これらの地域では戸建て住宅に地下室があって、空調機器、暖房機、給湯器、洗濯機、乾燥機などは地下に置きます。地下室の壁は鉄筋コンクリートまたはコンクリートブロックで造られ、その上に2x4や2x6の木造フレームを載せます。つまり、北部では「スラブ=ベタ基礎」ではなく、地下室が基礎代わりになります。(映画『Home Alone』のシカゴの家を思い出してください。)

さて、我が家のスラブ基礎は、施工開始と同時に、いきなり型枠(concrete frame)が作られ、設備配管立ち上げ(ガス配管、電気配線を土の中から基礎の上に出す=MEP stub up)を施工、鉄筋(reinforcing bar)をめぐらし、翌日にはもう、コンクリートを流し込んで、たった一日というものすごい速さで基礎ができてしまいました。ディベロッパーの施工では、1日に数件の基礎を流し込むので、巨大なコンクリート車から長いアームで各家のコンクリート基礎を一気に流し込んでいました。

テキサスでは、ベタ基礎で建てる一方、日本の台風のようにハリケーンも夏季に毎年やってきます。10年に一度は強大なハリケーンによってヒューストン全体で洪水が起きるのが常です。このため、各行政区は、それぞれの地区の総面積に対して15%程度の面積の防水池の設置を条例で義務付けられており、防水と景観の両方を目的としたArticficial Lake(人工湖というほど大きくない、人工池と表現した方が適切ですね)が多く存在します。
この大きなハリケーン対策として、テキサスでは、家の火災盗難保険に加えて、「洪水保険」もかけます。以前の自宅は年間約800ドルだったのですが、この家は1,750ドルと倍増!これって池が目の前にあるから、洪水のリスクが2倍ってことかな?と思います。2017年の「ハリケーンハービー」”Hurricane Harvey“の時は、4日間ゲリラ豪雨並みの雨量が続き、私たちの家の1㎞先ぐらいまで洪水で床上浸水しました。この時、洪水保険に入っていなかった人たちは、一階の床と壁の修理をしなければなりませんでした。
全く、アメリカという国は、健保、自動車、火災盗難、洪水と一体どれだけ保険に金がかかるのか、それぞれの保険のコストも日本の何倍も高い!もう、ため息の連続です。家のローンを払い終えても、毎月のコストが高く、アメリカでは社会保障年金(social security payment)だけでは老後も安心して暮らせない状況です。
さて、このように自然災害の多いアメリカ南部に安全に住むには、保険をかけるだけでなく、日本人として、神様に自分たちの安全を祈願することが欠かせません。そこで、我々は、前年日本に帰った時に、「地鎮祭キット」を購入して、神主さんはいないものの、夫婦2人で静かに、「地鎮祭」を執り行いました!
ハリケーン、竜巻、寒波と天災の多いテキサスで、「自然の神様の怒りを鎮める地鎮祭」は本当に重要です。コンクリート型枠を施工すると聞いた日に、早速夫婦で飛んで行って、日本で購入した「ミニキット」(塩やお札などが入っている)で、型枠の四隅に塩をまき、お札を立てて地鎮祭を行いました。ディベロッパー担当者、不動産エージェントや現場の大工さんたちは「何をしているんだろう」と、かなり興味を持っていました。

さて、次回は、いよいよ建物の骨組みから、屋根、内装まで一気に進む施工過程です。
by エディ先生
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住宅建設に関しての日米の工法の違い、自然環境の違い、保証制度の違いなどがよくわかりました。ところで、調達準備されている家具とカーテンはわかりますが、”レール”と”取って”は何のことですか?