【アメリカの戸建て住宅事情】第2回 HOAって何?
- エディ先生
- 7月11日
- 読了時間: 5分
更新日:7月11日

こんにちは!今日はアメリカで家を買うときに必ず耳にする重要なキーワード、「HOA(Home Owners’ Association)」についてお話ししたいと思います。
HOA=住宅所有者協会って何?
HOAとは、直訳すると「住宅所有者協会」。一言で言えば、「地域の資産価値を守るための管理組織」のことです。
……と聞くと、日本の「マンション管理組合」を思い浮かべるかもしれませんが、ちょっと違います。特にアメリカは戸建て住宅でも、HOAが存在するのが大きな特徴なんです。
HOAは昔はコンドやタウンハウスだけのものだった
そうなんです。30-40年前までは、HOAといえばコンドミニアムやタウンハウスの共有部分(エントランス、廊下、階段、中庭、駐車場、照明など)を維持するための仕組みで、戸建て住宅にはあまり関係がありませんでした。
最近はなぜ戸建てにもHOAがあるの?
私が住んでいるテキサス州は、この30年間の経済成長により、他州からの移住で急激に人口が増加し、新築住宅建設ラッシュが続いています。この間、昔は牛が放牧されていた大草原に、コミュニティのマスタープランに従って、複数の大手ディベロッパーが数千戸の住宅を3-5年で開発するスタイルで住宅建設を行ってきました。この状況は人口が停滞または減少している州とは若干異なります。
新設する「コミュニティ」と呼ばれるエリアには、住民が共有で使える施設として、公園、プール、フィットネスジム、テニスコートなどが建設されています。
さらにこのコミュニティ全体の景観、自然を維持するべく、家の外観のデザイン、壁の色、建物の高さ、道路の植木、フェンス、芝生、花などを統一して美しく保つために、この維持に多大なコストを投入しています。これら共用施設、景観の管理・運営までを含めて担うのがHOAです。
下の写真は、あるコミュニティの中心にあるジム、プールその他のスポーツ施設の外観です。このコミュニティの特徴は、湖(Lake)に囲まれた自然を売りにしており、13㎢に7,000軒の戸建て住宅が建設されています。

HOAの本当の目的は?
ズバリ、「地域全体の資産価値を維持・向上させること」。
そのためにHOAは、
• コミュニティ内の道路の両側の芝刈りや、そこに植えた木々、花などの手入れ
• ジム、プール他の施設の清掃、手入れとメンテナンスなどの運営
• 家の外観ルールの管理(ペンキの色、前庭の植栽、芝生)
などを行っています。
規則は結構厳しい⁉
実際に住んでみると驚くのが、HOAのルールの細かさ。
たとえば……
🚫 勝手に前庭の木を切り倒してはダメ(許可が必要)
🏊♂️ 自宅にプールを作るには事前申請
🌳 スプリンクラー散水で芝生の管理は必須。芝が枯れると警告
🚗 車をガレージやその前のドライブウェイに駐車せず、家の前の道路沿いに数日間停めているだけで注意されることも!
違反すると、証拠写真付きで警告メールが届くという厳しさ。まさに“街並みと価値を守る”徹底ぶりです。住民も周辺の資産価値が上がったほうが、売却時に自分の家のバリューも上がるので、規則を守りますし、守らない近隣がいると、「隣の家の芝生が枯れて見栄えが悪い!」などと、HOAに通報されることもあります。
HOAの費用って高いの?
その地域や施設の充実度にもよりますが、たとえばテキサスでは年間1,500~3,000ドルが一般的で、セキュリティゲートの有無、View(家から湖が見えるなど)によってもコストが異なります。
高いと思うかもしれませんが、それで綺麗な芝と花が咲き誇る街並み、共有ジム、プール付き、ゲート付きの安全な環境が保てると思えば……ある意味、価値があるとも言えるかもしれません。コミュニティによっては、全戸の前庭の芝刈りと、木や花の手入れもHOAの仕事に含めているものもあり、自分たちは裏庭の芝を刈るだけ。これも、周辺全戸の木と植栽の種類形状を統一し、美しさを保とうとするという意志の表れですね。
州やコミュニティで大きく異なる
もちろん、すべての住宅地にHOAがあるわけではありません。 たとえば、昔ながらのエリアでは、こうしたコミュニティの共用部分が無いため、今でもHOAなしの戸建てもあります。
私が90年代にカリフォルニアに住んでいた頃は、HOAのない住宅地が当たり前でした。でも今では、新築でHOAなしを探すのはなかなか難しいかもしれませんね。
まとめ
HOAとは、「街の美しさと資産価値を守る地域のルールブック」であり、「地域みんなでつくる快適な暮らしのシステム」。アメリカで家を買う・借りる際は、このHOAの存在とルール、そして費用をしっかりチェックしておくことが大事です。
「自由の国アメリカ」で、ここまで決まりがあるの⁉と思われるかもしれませんが、自由の裏には、秩序と管理の努力があるんですね。
次回からは、自身の経験から住宅の購入プロセスについて連載でお話しします!
by エディ先生
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