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仏の顔も3秒まで

更新日:5月12日


翻訳する聖徳太子

駆け出し通訳の私。

訓練と反省の日々だ。

通訳として働き始めてから、気付いたことがある。

人はなぜか、

通常できないことも通訳者ならできると思い込むことである。

 

以下はそんな通訳思い込まれ七不思議だ:

(注:本当は7億ぐらいある)



1.通訳は聖徳太子


複数人による話合いの場。通訳として聞き取り中。

まだ一人目が話している途中にも関わらず、自分の意見を言い始める

   フライングスターター達。

複数人が同時に話した結果、私には誰の発言も聞こえなかったという完全詰んだ状況。

   それでも当人達はそれぞれ話終わったタイミングで、期待いっぱい、

   まばゆいばかりの眼差しをこちらに向けるのであった。


私「ハイ、ヒトリズツ、モウイチド」



2.通訳の聴覚は無限Hz


   これは建築現場通訳特有の悩みかもしれない。(いや、私だけか?)

   話者の声が小さくて聞こえないのだ。

   工具や重機の音が共鳴するなか、話者の声が小さいとキツイ。

   「えっ?えっ?すみません、えっ?」の連呼だ。

   耳を近づけ過ぎ、メット頭突きをかましてしまうこともある。



3.通訳の耳はノイズキャンセリング付き


   室内での会議通訳時。 静かで整った環境。

   長机の向こう側にいる人の発言に集中力上昇バフ付きで耳を傾ける私。

   だが、その全開中の耳のわざわざ真横でぷち内輪会議がおっぴらかれる。

   こういった状況では控えてもらう、または向こうでお話してもらうよう

丁寧にお声掛けする必要がある。

   しかし聞き取りに必死であればあるほど、その「お声掛け」は雑になる。


              「すみません、向こうでお願いします。」


              「あ、ちょっと、聞こえないっ」


              「チョぉ゛!!!」


   通訳者の魅力は何事にも動じない精神力と豊かな表現力である。



4.通訳者の目はズーム機能搭載


   会議の内容を共有されることなく会議通訳として召集される。

   開始と共におもむろに配布される米粒1/2サイズの文字が敷き詰められた資料。

   訳出の合間にちらちら覗き、配布書類の解読を試みる。

   結局、資料は使いものにならずシュレッダーのランチと化す。



5.通訳は全知全能


   私は日⇔英の通訳者である。

   英語が身近なものではない人にとっては、どこの言語も大体同じに聞こえるようだ。

   ある外国人達の会話後、訳出を期待して私の方を見る職人さん。

   気付いた私は慌てて、


              「あ、すみません、これ広東語!」



6.通訳はオート召喚


   待機時間も多いのが通訳。

   使命を果たすその時まで座禅で精神統一だ。

   澄んだ精神の奥底から聞こえてくるのは、

   そう。。。あの、独特のなんとなく嚙み合っていない会話。

   現実世界ではなんと事務所の端で通訳が必要な会話が発生しているでは   ないか!


              ( ぉおぃ!なんdっ呼ばない?!)



7.訳はさむい冗談フィルター交換不要


   確実にシラケる冗談を言う、ある中年常習犯が懲りずに

   また凍てつくような冗談をかます。

   嫌な予感しかしないが、通訳としてしぶしぶ訳出。


   だだ滑りまくる。

   そして、通訳がさむいヤツのような地獄の感覚に陥る。



これらはまだほんの一部に過ぎないが、次の機会にこちらで共有しようと思う。



それでは、また、

Cheers!

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